陸上自衛隊中部方面総監部のUSBメモリのマルウェア検知

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マルウェア
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行政、国内
目次
  1. 経緯
  2. 時系列
  3. 影響範囲
  4. 対応と現状
    1. 会見での説明
    2. 取得経緯の調査結果
    3. 防衛省と政府の措置
    4. 自治体での調査
  5. 未公表の事項
  6. 注
  7. 出典
  8. 更新記録

Jディフェンスニュースが転載した陸上幕僚監部の2026年6月26日の公表文によると、陸上自衛隊中部方面総監部が使っていたUSBメモリにマルウェアが含まれていたが、陸上自衛隊のシステムへの影響はなく、外部への情報流出もない⁠[10]。陸上幕僚長は9月15日の定例記者会見で、USBメモリは正規の手続きを経て調達した物品ではなく、当時所属していた隊員が持ち込んだものだったと発表した⁠[16]。

経緯

Jディフェンスニュースが転載した公表文によると、USBメモリは能登半島地震への対応に際し、中部方面総監部が物品登録して利用していたものだった⁠[10]。確認したマルウェアは自己増殖の動作にとどまる古典的なもので、起動させない限り自己増殖は行われない⁠[10]。外部から情報を窃取するものではなく、感染したパソコンの情報を外部へ送信するものでもない⁠[10]。

陸上幕僚監部は同じ公表文で、防衛省・自衛隊の規則として、USBメモリの「使用に際し、例外なくウイルスチェックを実施し、事前に安全性を確認する」ことを挙げた⁠[10]。調達に際しても、サプライチェーン・リスクに対応するため、重要性や運用環境等に応じて事前に安全性を確認する⁠[10]。

内閣の7月28日の答弁書では、ガイドラインの基本対策事項に準拠した防衛省の内部規則が遵守されず、USBメモリの使用に際してコンピュータ・ウイルスの検査をせず安全性を確認していなかったことは問題であったと考えているとした⁠[6]。質問が挙げた「セキュリティーソフトの設定で検査対象から外れていた」ことには、具体的に意味するところが必ずしも明らかではないと答えた⁠[6]。

@ITは、調達段階でマルウェアが混入していたのか運用開始後に感染したのかは確認されておらず、感染経路は不明としていると報じた⁠[11]。

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時系列

時系列
日付主体内容資料
2024年4月中部方面総監部USBメモリの使用を始めた⁠[6]
2025年2月陸上幕僚監部USBメモリにコンピュータ・ウイルスが含まれていることを確認した事例を陸上幕僚長まで報告し、事例の概要と検査の必要性を部隊等に周知した⁠[6]
2026年6月26日防衛省防衛大臣記者会見の記録を掲載した⁠[1]
2026年6月26日総務省地方自治体におけるUSBメモリー等の適切な取扱いと調達について、注意喚起の通知を出した⁠[9]
2026年6月26日21時30分陸上幕僚監部報道に向けて事例を公表した⁠[10]
2026年6月30日防衛省陸上幕僚長の定例記者会見の記録を掲載した⁠[2]
2026年7月7日参議院議員質問主意書2本(第67号・第68号)を提出した⁠[7、8]
2026年7月8日三重県庁内のUSBメモリの調査結果を公表した⁠[4]
2026年7月16日参議院議員質問主意書(第90号)を提出した⁠[6]
2026年7月17日参議院第67号・第68号の答弁書を受領した⁠[7、8]
2026年7月28日参議院第90号の答弁書を受領した⁠[6]
2026年9月15日防衛省陸上幕僚長の定例記者会見の記録を掲載した⁠[3]

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影響範囲

陸上幕僚監部は公表文で、USBメモリを接続したシステムへのマルウェアの拡散は見られていないと説明した⁠[10]。

9月15日の陸上幕僚長の会見では、各部隊のUSBメモリの管理状況とウイルスチェックの実施状況を点検・確認し、同様のウイルス感染は確認されなかった⁠[16]。

内閣の7月17日の答弁書では、USBメモリには中国に所在する企業の名称が記載されていた⁠[7]。製造と流通に関与した事業者は網羅的な把握が事実上困難で把握しておらず、同型の製品の市場流通も確認していない⁠[7]。消費者庁、経済産業省、国民生活センターは、実態調査の実施を考えていないと答えた⁠[7]。

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対応と現状

会見での説明

6月26日の閣議後会見で、記者は、陸上自衛隊が昨年2月までウイルスに感染したUSBメモリを機密システムで1年ほど使っていたことが日本経済新聞の取材で明らかになったとして、事前に公表した方が良かったのではないかと質問した⁠[13]。防衛大臣は、同型製品に同様にマルウェアが含まれているかといった点を防衛省・自衛隊として判断し、公表することは困難と答えた⁠[13]。今後は国家サイバー統括室(NCO)への情報共有を適切に行い、サイバー安全保障担当大臣ともよく連携していきたいと述べた⁠[13]。

陸上幕僚長は6月30日の定例記者会見で、取得までの経緯は念のため細部にわたり調査を行っているところで、新しい情報を開示することはできないと述べた⁠[14]。感染が確認されたUSBの数やメーカー、製造国を問われ、品名・数量等は自衛隊の運用等に最終的に関わってくるとして、回答を差し控えた⁠[14]。

7月7日の会見では、陸上幕僚長は、各種報道機関からの問い合わせがあったことなどで改めて調査していると説明し、前年の調査の適否や詳細は答えなかった⁠[15]。マルウェアが情報窃取や外部への通信を行うものではなく、接続したシステムへの拡散も見られなかったことから、当時は公表に至らなかったと述べた⁠[15]。過去に同じ種類の事例があったかは一概に答えることを差し控え、関係する隊員の処分は、調査の過程で不適切なことがあれば必要な検討をして処置をしていくとした⁠[15]。

取得経緯の調査結果

陸上幕僚長の9月15日の会見によると、石川県によるUSBメモリの提供は、その事実がないことを確認した⁠[16]。中部方面総監部では調達関係書類の点検、関係者からの聞き取り、関係者の使用するシステムのログ等を調べたが、隊員がUSBメモリをどのように入手したかについて事実関係を特定するには至らなかった⁠[16]。

陸上幕僚長は、関係者の責任の有無について必要な確認を行っているとし、調査の詳細を公表すると責任の有無に関する検討などに影響を及ぼすおそれがあることと、USBメモリやシステムに関わる事項であることから、詳細を全て公表することはできないと述べた⁠[16]。関係規則が遵守されていなかったことは「大変遺憾」とし、次の再発防止策を挙げた⁠[16]。

  • 可搬型記憶媒体の調達に際し、関係規則の内容を理解した上で取得プロセスを明らかにし、サプライチェーンリスク対策を徹底する⁠[16]。
  • 納入に際し、入手先を可搬記憶媒体管理簿に記載し、不適切なUSBメモリが混入しないよう管理を徹底する⁠[16]。
  • 可搬記憶媒体を使用する場合は、毎回コンピューターウイルス等の感染がないことを確実に確認する⁠[16]。
  • 情報システムの換装の機会を捉え、可搬記憶媒体を使用する必要がない情報システムの構築を促進するなど、使用を最小限とする⁠[16]。

中部方面総監部以外の部隊で正規の手続きを経ていないUSBメモリがないかは、改めて対応と調査をしていくとした⁠[16]。

朝雲デジタルは、調査では納品実績なども確認したと報じた⁠[12]。

防衛省と政府の措置

陸上幕僚監部は公表文で、規則が遵守されていなかったことは問題で、現在はウイルスチェックの実施を徹底していると説明した⁠[10]。マルウェアの検知以降、防衛省・自衛隊は再発防止を含めた対応を続けている⁠[10]。取得までの経緯はサプライチェーン・リスクへの対応状況を含めて改めて調査中で、NCOには情報を共有している⁠[10]。

内閣の7月17日の別の答弁書では、NCOが設置された2025年7月1日以降、政府機関でマルウェアに感染したUSBメモリが使われていた事例としてサイバーセキュリティ戦略本部に報告されたものはない⁠[8]。NCOは防衛省に必要に応じた助言等を行う⁠[8]。府省庁等、独立行政法人、指定法人に対しては、注意喚起等を行っていない⁠[8]。

府省庁等が令和7年度に調達したUSBメモリは約6800個で、うちインターネット通販による調達は13個と承知しているが、調達と管理を課室ごとに行うことも可としており、数量を網羅的に把握することとはしていない⁠[8]。調達の対策の見直しを含め、引き続き必要な対応を防衛省の調査結果を踏まえて検討する⁠[8]。

内閣の2026年7月28日の答弁書によると、防衛省は再発防止のため検査の実施を徹底した⁠[6]。USBメモリの取得までの経緯は防衛省が調査を行っているところで、機器の調達や危機管理体制の見直しは調査の結果を踏まえて必要な対応を検討する⁠[6]。

自治体での調査

総務省の7月3日の記者会見の概要によると、総務大臣は地方自治体へのUSBメモリー等の実態調査を7月中に実施する予定で、内容や時期、公表の在り方等は担当部局で検討中と述べた⁠[9]。

三重県は、陸上自衛隊で使用していたUSBメモリにマルウェアが確認された報道を踏まえ、6月26日〜7月6日に公安委員会を除く全所属のUSBメモリを調べた⁠[4]。マルウェアを検知したUSBメモリは47個(37所属)だった⁠[4]。内訳は、過去に保存したメールデータから検知されたものが29個(27所属)、外部端末での使用時に混入したものが18個(12所属)だった⁠[4]。

マルウェアは自己増殖型と、パソコンで不正な操作を行う古典的な情報搾取型で、全て活動していないものであり、感染と被害は無かった⁠[4]。県はマルウェアが自動的には起動できないように制御し、手動で起動させてもリアルタイムスキャンで脅威を防いでいる⁠[4]。原因は、使用時のウイルスチェックが徹底されていなかったためだった⁠[4]。県立学校11校は、教員分の調査を続けるとした⁠[4]。

三重県の8月22日の最終報告では、USBメモリの総数は12,357個〔注1〕で、最初の公表以降に新たにマルウェアが検出されたUSBメモリは無かった⁠[5]。私物のUSBメモリは3,789個で、うちマルウェアを検知したものは14個だった⁠[5]。三重県は8月21日までに私物のUSBメモリを全廃し、10月1日から業務で使う全てのUSBメモリを台帳で管理し、私物の禁止や台帳管理を明確にした改正セキュリティポリシーを施行する予定とした⁠[5]。

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未公表の事項

  • マルウェアの名称と種類(陸上幕僚監部は「自己増殖の動作にとどまる古典的なもの」と説明した⁠[10])
  • マルウェアが含まれていたUSBメモリの品名・本数・製造元と、接続した端末の台数
  • 隊員がUSBメモリを入手した経路
  • マルウェアの作成者と帰属
  • 関係者の責任の有無と処分

注

  • 〔注1〕三重県は7月8日の公表で、USBメモリの総数を10,757個としていた⁠[4]。

出典

当事者

関係組織

報道機関

更新記録

  • 2026年7月4日:公開した。
  • 2026年7月8日:三重県の7月8日の調査結果の公表(出典4)を加え、時系列と対応と現状の節を改めた。
  • 2026年7月9日:Jディフェンスニュースが転載した7月7日の陸上幕僚長定例記者会見の内容(出典15)を加え、対応と現状の節と未公表の事項を改めた。
  • 2026年7月17日:参議院の7月17日の答弁書2本(出典7、8)を加え、時系列と影響範囲、対応と現状の節を改めた。
  • 2026年7月28日:参議院の7月28日の答弁書(出典6)を加え、経緯と時系列、対応と現状の節を改めた。
  • 2026年8月22日:三重県の8月22日の最終報告(出典5)を加え、対応と現状の節と注を改めた。
  • 2026年9月15日:防衛省の9月15日の陸上幕僚長定例記者会見の記録(出典3)を加え、時系列を改めた。
  • 2026年9月17日:朝雲デジタルの記事(9月15日公開、9月17日更新。出典12)と、Jディフェンスニュースが転載した9月15日の陸上幕僚長定例記者会見の内容(出典16)を加え、リードと影響範囲、対応と現状の節、未公表の事項を改めた。

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