Apache ActiveMQの脆弱性CVE-2026-34197の悪用
Apache ActiveMQには、認証済みの攻撃者が任意のコードを実行できる脆弱性CVE-2026-34197がある[1]。米CISAは、2026年4月16日にこの脆弱性を悪用が確認された脆弱性のカタログ(KEV)に加えた[10、11]。Apacheは、この修正を回避できる脆弱性CVE-2026-40466とCVE-2026-45505も告知した[4、5]。
脆弱性の内容
Apacheの告知では、ActiveMQはWebコンソールの/api/jolokia/でJolokia JMX-HTTPブリッジを公開している[1]。既定のJolokiaのアクセス方針は、ActiveMQのすべてのMBean(org.apache.activemq:*)へのexec操作を許す[1]。許す操作には、BrokerService.addNetworkConnector(String)とBrokerService.addConnector(String)も入る[1]。攻撃者は細工したdiscovery URIでこれらの操作を呼び、VM transportのbrokerConfigパラメータから遠隔のSpring XMLアプリケーションコンテキストを読み込ませることができる[1]。
Apacheは、SpringのResourceXmlApplicationContextがBrokerServiceによる設定の検証の前にすべてのsingleton beanを生成すると説明した[1]。このため、Runtime.exec()などのbeanのfactoryメソッドを通じて、ブローカーのJVMで任意のコードが実行される[1]。
| 項目 | 値 | 資料 |
|---|---|---|
| CVSS v3.1 | 8.8(CISAのADP。AV:N/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H) | [10] |
| CVSS v3 | 8.8(Red Hat) | [8] |
| 深刻度 | important(Apache)、Important(Red Hat) | [1、8] |
| CWE | CWE-20(入力の検証の不備)、CWE-94(コードインジェクション) | [10] |
| SSVC | Exploitation active、Automatable no、Technical Impact total(CISAのADP) | [10] |
Horizon3.aiの記事では、この脆弱性はActiveMQ Classicで13年間見過ごされていた[15]。悪用には認証情報が要るが、既定の認証情報(admin:admin)は多くの環境で一般的だとした[15]。6.0.0〜6.1.1では、別の脆弱性CVE-2024-32114によってJolokia APIが認証無しで公開されている[15]。これらの版では、CVE-2026-34197は事実上認証の要らない遠隔コード実行になる[15]。
Horizon3.aiは、CVE-2022-41678の修正がJolokiaを既定で読み取り専用にし、危険なMBeanを拒んだと説明した[15]。その修正は、Webコンソールが動くようにActiveMQ自身のMBeanにはすべての操作を許した[15]。CVE-2026-34197は、そのActiveMQのMBean自体を使ってこの修正を回避する[15]。
Horizon3.aiによると、addNetworkConnectorはブローカー間の接続を実行時に設定する操作である[15]。vm://のURIが存在しないブローカーを指すと、ActiveMQは既定でその場でブローカーを作り、設定の読み込み先を示すbrokerConfigパラメータを受け付ける[15]。読み込み先には、攻撃者が管理する遠隔のURLも含まれる[15]。遠隔のSpring XMLの設定ファイルを読み込ませる到達点は、CVE-2023-46604と同じ種類である[15]。
発見者はHorizon3.aiの記事で、ソースコードの最初の調べをClaudeに任せたと書いた[15]。手作業ならおそらく1週間かかった作業を、Claudeは10分で行ったとした[15]。
時系列
| 日付 | 主体 | 内容 | 資料 |
|---|---|---|---|
| 2026年 | Horizon3.ai | Apacheに脆弱性を報告した | [15] |
| 2026年 | Apache | 報告を受領し、CVEを割り当てた | [15] |
| 2026年 | Apache | 6.2.3を公開した | [6] |
| 2026年 | Apache | 5.19.4を公開した | [7] |
| 2026年 | Apache | oss-securityのメーリングリストに告知を投稿した | [3] |
| 2026年 | - | CVE記録とNVDの記録が公開された | [10、11] |
| 2026年 | Horizon3.ai | 脆弱性の詳細を記事で公開した | [15] |
| 2026年 | SLIME88 | TeamT5がさかのぼれた最も早い攻撃を行った | [17] |
| 2026年 | シンガポールのサイバーセキュリティ庁 | 注意喚起を出した | [13] |
| 2026年 | Fortinet | 観測した悪用の試みが最も多かった | [20] |
| 2026年 | Safe Security | 公開されたJolokiaの管理端点が積極的に狙われていると書いた | [16] |
| 2026年 | CISA | KEVに加え、告知を掲載した | [11、12] |
| 2026年 | - | 修正を回避する脆弱性CVE-2026-40466のCVE記録が公開された | [14] |
| 2026年 | TeamT5 | SLIME88による悪用を報告した | [17] |
対象の製品と版
開発元の製品ページによると、ActiveMQはオープンソースのメッセージングとIntegration Patternsのサーバーで、Apache 2.0ライセンスで公開されている[27]。
Horizon3.aiの記事では、Classicのブローカーは8161番ポートでJettyによるWeb管理コンソールを持ち、そのコンソールにJolokiaが含まれる[15]。Horizon3.aiは、影響はClassicだけにあるとした[15]。
| 製品 | 影響を受ける版 | 修正版 | 資料 |
|---|---|---|---|
| Apache ActiveMQ Broker(activemq-broker)とApache ActiveMQ(activemq-all)のCVE-2026-34197 | 5.19.4より前、6.0.0以上6.2.3より前 | 5.19.4、6.2.3〔注1〕 | [1] |
| Apache ActiveMQのCVE-2026-40466 | 5.19.6より前、6.0.0以上6.2.5より前 | 5.19.6、6.2.5 | [4] |
| Apache ActiveMQのCVE-2026-45505 | 5.19.7より前、6.0.0以上6.2.6より前 | 5.19.7、6.2.6 | [5] |
Red Hatは、脆弱な構成要素をビルド時と内部の試験だけで使い、出荷製品に含まないため、自社の製品を影響なしとした[8]。Debianのセキュリティトラッカーは、activemqのbookworm(5.17.2+dfsg-2+deb12u1)とtrixie・sid(5.17.6+dfsg-2)をvulnerableとしている[9]。unstableはunfixed(Debian Bug 1136024)である[9]。
悪用の状況
NVDの記録によると、CISAはKEVの項目で対応期限を4月30日とした[11]。求める対応は、開発元の指示に従った緩和策の適用、クラウドサービスでのBOD 22-01の指針への準拠、緩和策が無ければ製品の使用の中止である[11]。
The Hacker Newsは4月17日の記事で、どのように悪用されているかの詳細は今のところ無いと報じた[20]。Fortinet FortiGuard Labsのテレメトリがここ数日で数十件〔注2〕の悪用の試みを捉えたとも報じた[20]。
Safe Securityの4月15日の記事では、Jolokiaの露出に関わる問題と、CVE-2026-34197・CVE-2024-32114を含むActiveMQの脆弱性は、他の公開されたインターフェースと連鎖させてより深い侵害に至りうる[16]。構成によっては、安全でないMBeanの操作や補助の端点を通じて遠隔コード実行に至りうる[16]。
TeamT5は、この脆弱性が中国系のAPT「SLIME88」を含む攻撃者に悪用されたと報告した[17]。SLIME88は悪用の後にSoxAgent RATを置いてLinux機器を侵害し、ORBネットワークを作った[17]。TeamT5はこのネットワークを仮の名前GOBLIN14で追跡している[17]。SoxAgentは、侵害した機器をSOCKS5の中継点に変えるLinuxのバックドアである[17]。
TeamT5の報告では、被害を受けた組織に米国のITと製造の組織と、韓国・インド・フランス・米国の組織が含まれる[17]。PoCがその後公開され、告知の直後から攻撃者による悪用が観測された[17]。
Horizon3.aiは、コマンドが接続の試行の間に実行され、設定の失敗を示すWARNのログはペイロードの実行の後に出ると書いた[15]。
| 種別 | 値 | 示した組織 | 資料 |
|---|---|---|---|
| ダウンロードスクリプトのC2 | 103.201.131.121 | TeamT5 | [17] |
| SoxAgentのC2 | www.fastsecurey.info、103.201.131.121 | TeamT5 | [17] |
| ブローカーのログ | vm://とbrokerConfig=xbean:httpを含むネットワークコネクタの記録 | Horizon3.ai | [15] |
| ブローカーのログ(activemq.log) | vm://と?brokerConfigを含むURI。C2への再接続を繰り返し、「Failed to load URL」のエラーを残すことがある | TeamT5 | [17] |
| リクエスト | 本文にaddNetworkConnectorを含む/api/jolokia/へのPOST | Horizon3.ai | [15] |
| 通信とプロセス | ブローカーから予期しない宛先へのHTTP通信、ActiveMQのJavaプロセスの予期しない子プロセス | Horizon3.ai | [15] |
修正と回避策
Apacheのリリースの説明では、6.2.3と5.19.4の変更に、BrokerViewでVM transportを使えなくすることと、BrokerViewで使う入れ子のcomposite URIの検証が含まれる[6、7]。
Horizon3.aiは、修正によってaddNetworkConnectorの操作でvm://のtransportを追加できなくなったと書いた[15]。
ApacheのCVE-2026-40466の告知では、activemq-httpモジュールがclasspathにあるとき、認証済みの攻撃者はJolokiaからHTTP Discovery transportのコネクタを追加して修正を回避しうる[4]。追加にはBrokerView.addNetworkConnectorかBrokerView.addConnectorを使う[4]。悪意のあるHTTPの端点がHTTP URIを通じてVM transportを返すと、CVE-2026-34197で加えた検証を回避する[4]。深刻度はimportantである[4]。
Apacheは、CVE-2026-45505の告知で、masterslave:vm://...,...やstatic:vm://...のような括弧の無いdiscoveryのwrapperが誤って検証を通り、修正の回避を許すと説明した[5]。
未公表の事項
- CISAがKEVに加えた根拠となった攻撃の観測
- Apacheによる悪用の状況の説明
- 悪用で被害を受けた組織の数(TeamT5は国と業種だけを挙げた[17])
- 侵害された機器からのデータの持ち出しの有無
- TeamT5以外の組織による攻撃者の帰属
注
出典
当事者
- [1]The Apache Software Foundation『CVE-2026-34197 announcement』(公開日不明、2026年11月7日閲覧)
- [3]The Apache Software Foundation『CVE-2026-34197: Apache ActiveMQ Broker, Apache ActiveMQ: Authenticated users could perform RCE via Jolokia MBeans』(2026年4月6日公開)
- [4]The Apache Software Foundation『CVE-2026-40466 announcement』(公開日不明、2026年11月7日閲覧)
- [5]The Apache Software Foundation『CVE-2026-45505 announcement』(公開日不明、2026年11月7日閲覧)
- [6]The Apache Software Foundation『ActiveMQ 6.2.3 Release』(2026年3月30日公開)
- [7]The Apache Software Foundation『ActiveMQ 5.19.4 Release』(2026年3月31日公開)
関係組織
- [8]Red Hat, Inc.『CVE-2026-34197』(2026年4月7日公開)
- [9]Debian Project『CVE-2026-34197』(公開日不明、2026年11月7日閲覧)
公的機関
- [10]CVE Program『CVE-2026-34197』(2026年4月7日公開、2026年8月17日更新)
- [11]National Institute of Standards and Technology『CVE-2026-34197 Detail』(2026年4月7日公開、2026年10月26日更新)
- [12]Cybersecurity and Infrastructure Security Agency『CISA Adds One Known Exploited Vulnerability to Catalog』(2026年4月16日公開、保存記録のみ) 保存記録
- [13]Cyber Security Agency of Singapore『Critical Vulnerability in Apache ActiveMQ Classic(AL-2026-034)』(2026年4月13日公開)
- [14]CVE Program『CVE-2026-40466』(2026年4月24日公開、2026年7月15日更新)
調査・観測
- [15]Horizon3.ai『10 Minutes with Claude: Remote Code Execution in Apache ActiveMQ (CVE-2026-34197)』(2026年4月7日公開、2026年4月22日更新)
- [16]Safe Security『How the Most Dangerous New CVEs Invite Themselves into Your Systems』(2026年4月15日公開、2026年11月5日更新)
- [17]TeamT5 Inc.『Alert: Exploitation of CVE-2026-34197 in Apache ActiveMQ』(2026年6月10日公開)
報道機関
- [20]The Hacker News『Apache ActiveMQ CVE-2026-34197 Added to CISA KEV Amid Active Exploitation』(2026年4月17日公開)
- [21]Wired Business Media『Recent Apache ActiveMQ Vulnerability Exploited in the Wild』(2026年4月17日公開、2026年4月19日更新)
背景資料
- [27]The Apache Software Foundation『ActiveMQ』(公開日不明、2026年11月7日閲覧)
更新記録
- 2026年4月18日:公開した。
- 2026年4月19日:SecurityWeekの4月19日の更新版の記事(出典21)を注に加えた。
- 2026年4月22日:Horizon3.aiが4月22日に更新した記事(出典15)の修正版の記述を注に加えた。
- 2026年4月24日:CVE-2026-40466のCVE記録(出典14)とApacheの告知(出典4)を加え、時系列、対象の製品と版、修正と回避策の節を改めた。
- 2026年6月1日:CVE-2026-45505のApacheの告知(出典5)を加え、リード、対象の製品と版、修正と回避策の節を改めた。
- 2026年6月10日:TeamT5の6月10日の報告(出典17)を加え、時系列、悪用の状況、修正と回避策の節を改めた。
- 2026年7月15日:CVE-2026-40466のCVE記録の7月15日の更新版(出典14)に合わせ、時系列を改めた。
- 2026年8月17日:CVE-2026-34197のCVE記録の8月17日の更新版(出典10)に合わせ、脆弱性の内容の表を改めた。
- 2026年10月26日:NVDの記録の10月26日の更新版(出典11)に合わせ、悪用の状況の節を改めた。
- 2026年11月5日:Safe Securityの11月5日の更新版の記事(出典16)に合わせ、悪用の状況と修正と回避策の節を改めた。
