タイムズカーのWebシステムへの不正アクセス
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タイムズモビリティの2026年10月23日の第5報によると、運営するカーシェアリングサービス「タイムズカー」のWebシステムへの不正アクセスで、氏名や住所など6,628,007件に外部送信の痕跡が確認された[5]。暗号化した本人確認書類の画像にも1,464,800件〔注1〕の外部送信の痕跡があり、関連してタイムズクラブWebシステムへの不正アクセスも確認された[5]。
経緯
タイムズモビリティは第5報で、外部専門機関のフォレンジック調査の結果、Webシステムに存在した脆弱性が悪用されて発生したものと判断したと説明した[5]。攻撃者は脆弱性を悪用してシステムに侵入した後、システム内の情報を探索し、取得した情報を使ってデータベースとファイル領域にアクセスしていた[5]。攻撃手法の詳細とシステム構成は、二次被害を防ぐ観点から公表を差し控えるとした[5]。
9月25日の第1報では、第三者がシステムにアクセスした形跡を確認したと説明していた[1]。漏えいした可能性のある情報には、氏名・住所・生年月日・電話番号・メールアドレス・会員番号・免許情報・本人確認書類・法人会員情報・連携サービスIDなどを挙げた[1]。
9月28日の第2報でタイムズモビリティは、不正アクセスを受けたシステムに保存されていた一部の会員情報が、第三者に取得されたことを確認したと説明した[2]。監視を続けており、新たな不正アクセスは確認されていないとした[2]。サービス提供への影響は確認されておらず、各種サービスは通常どおり続けていた[2]。
時系列
| 日付 | 主体 | 内容 | 資料 |
|---|---|---|---|
| 2026年 | タイムズモビリティ | タイムズカーWebシステムへの外部からの不正アクセスを検知し、調査を始めた | [2] |
| 2026年 | タイムズモビリティ | 問い合わせ窓口を開き、対象サーバーを隔離して不正アクセスの経路を遮断し、フォレンジック調査を始め、個人情報保護委員会に報告して第1報を出した | [5] |
| 2026年 | タイムズモビリティ | 7時25分までに攻撃元からの通信の遮断と遮断後のアクセス不能の確認を終え、侵害を受けた環境と関連環境の切り離しを完了した | [1、5] |
| 2026年 | タイムズモビリティ | 警察への相談〔注3〕と既存会員への案内を始め、国土交通省に一報し、第2報を出した | [5] |
| 2026年 | パーク24 | 連結子会社での不正アクセスの発生と個人情報の漏えいを適時開示した | [7、9] |
| 2026年 | タイムズモビリティ | 第3報を出し、本人確認書類の漏えいが確認された会員にメールで個別の案内を始めた | [3] |
| 2026年 | タイムズモビリティ | 退会した人への案内を始め、質問と回答の資料と、退会した人向けの専用の問い合わせフォームを設けた | [1、5] |
| 2026年 | 国土交通省 | 全国レンタカー協会に文書で情報漏えい対策の点検を要請した | [21] |
| 2026年 | タイムズモビリティ | 法人会員への案内を始めた | [5] |
| 2026年 | タイムズモビリティ | 第4報を出した | [4] |
| 2026年 | タイムズモビリティ | 外部専門機関のフォレンジック調査を終えて第5報を出し、17時からマイページに会員ごとの漏えいが確認された情報を載せた | [5] |
| 2026年 | パーク24 | 調査結果と特別損失の計上の見込みを適時開示した | [7、8] |
| 2026年 | パーク24 | タイムズクラブの漏えいが確認された会員に、10月30日からメールで個別に案内すると告知した | [11] |
| 2026年 | パーク24 | タイムズクラブの対象者への個別の案内をすべて終えたと告知した | [12] |
影響範囲
タイムズモビリティの8月17日の発表では、タイムズカーの会員数は400万人を突破した[23]。
第2報に挙がった対象は、タイムズカー会員と退会した人(入会を申し込んで完了していない人を含む)、タイムズビジネスサービス会員と退会した人である[2]。漏えいしたアカウント数は約660万件だった[2]。パスワードは復元できない形式で保管しており、アカウントが不正に利用される恐れはないとした[2]。
| システム | 区分 | 情報 | 件数 | 資料 |
|---|---|---|---|---|
| タイムズカーWebシステム | アクセスと外部送信の痕跡 | 氏名、住所、生年月日、電話番号、メールアドレス、運転免許情報 | 6,628,007件 | [5] |
| タイムズカーWebシステム | 属性・識別情報 | 法人会員の所属部署名 | 3,677件 | [5] |
| タイムズカーWebシステム | 属性・識別情報 | タイムズカー会員番号(IC管理番号) | 8件 | [5] |
| タイムズカーWebシステム | 属性・識別情報 | タイムズビジネスカード番号 | 113件 | [5] |
| タイムズカーWebシステム | 属性・識別情報 | 連携サービスID〔注2〕 | 4件 | [5] |
| タイムズカーWebシステム | ハッシュ化された認証情報へのアクセスと外部送信の痕跡 | パスワード | 4件 | [5] |
| タイムズカーWebシステム | 暗号化された画像へのアクセスと外部送信の痕跡 | 本人確認書類の画像 | 1,464,800件 | [5] |
| タイムズカーWebシステム | 暗号化された画像へのアクセスの痕跡(外部送信の痕跡なし) | 本人確認書類の画像 | 891,602件 | [5] |
| タイムズクラブWebシステム | - | 氏名、住所、生年月日、運転免許情報 | 5件 | [5] |
| タイムズクラブWebシステム | - | タイムズクラブカード番号 | 19,510件 | [5] |
| タイムズクラブWebシステム | - | タイムズビジネスカード番号 | 12件 | [5] |
| タイムズクラブWebシステム | - | 連携サービスID(他社提携サービスと連携するための識別番号) | 135,436件 | [5] |
| タイムズクラブWebシステム | - | クレジットカード番号の下4桁 | 28件 | [5] |
第5報の説明では、タイムズビジネスサービスに「カンタン入会」で入会した人の契約情報をタイムズカーWebシステムで管理しているため、駐車場のみ(クレジットカード払い)を契約している人の情報も含まれる[5]。会員管理とシステム運用のための識別情報も、アクセスされて外部送信された痕跡があった[5]。タイムズモビリティは、これらの件数は外部専門機関の調査に基づく最終件数で、追加の対象範囲は確認されていないと説明した[5]。
本人確認書類の画像は暗号化した状態で保管していたため、痕跡が確認されても直ちに画像の内容を閲覧できる状態になったことを意味しないと、タイムズモビリティは第5報で説明した[5]。外部送信された暗号化データは、将来の復号の可能性を完全には否定できないともした[5]。タイムズモビリティの質問と回答の資料によると、外部に送信された場合とアクセスされただけの場合をあわせて「漏えい(または漏えいのおそれ)」として公表している[6]。
クレジットカード情報について、第2報は漏えいしていないことを確認したと書いていた[2]。タイムズクラブWebシステムで漏えいしたカード番号の下4桁は、決済情報の非保持化に対応しており全桁とセキュリティコードを保持していないため、不正に利用されるおそれはないと第5報で説明した[5]。
タイムズモビリティは第2報で、情報が不特定多数に公開された事実と、個人情報の不正利用などの事実は確認されていないとした[2]。第5報では、把握している範囲で、漏えいした情報が売買・公開されたことを示す事実は確認されていないと説明した[5]。タイムズモビリティは想定されるリスクとして、フィッシングメールやフィッシングサイトによる詐欺、なりすましによる申込みや問い合わせ、不正勧誘、個人情報の悪用を挙げた[5]。
対応と現状
再発防止策と調査委員会
第5報の発表では、侵入経路、攻撃者の行動、影響範囲を調べ、確認された侵害経路への対策を終えた[5]。同じ構成のシステムの点検と脆弱性対策を行い、監視と検知を強める追加の対策も実施した[5]。外部専門機関と連携してダークウェブを含む情報の流通状況の監視を続け、実害の発生状況も確かめる[5]。
タイムズモビリティは、外部専門家の助言も踏まえて情報セキュリティ強化策を策定し、順次実施するとした[5]。社外取締役を中心に外部専門家を加えた調査委員会で、グループの内部統制とガバナンスを検証する[5]。具体的な情報セキュリティ強化策とガバナンス強化策は、年内を目処に公表する予定である[5]。
保有ルールの変更と削除
タイムズモビリティは10月16日の第4報で、会員登録時に提出を受けた運転免許証などの本人確認書類の画像を、会員期間中と退会後7年間保有していたと説明した[4]。登録時の本人確認のほか、「不正利用が疑われる事案への対応」、問い合わせ対応、各種の本人確認業務に使う目的だった[4]。従来は、社内ルールで保有が不要になった画像と、本人の請求があった画像を削除していた[4]。
第4報で、会員登録の完了後は画像を保有しない社内ルールに変え、いま保有している画像は申し出の有無にかかわらず10月末までに削除するとした[4]。第5報によると、画像は削除するが、保存していた画像との同一性を確かめるための情報は保全している[5]。
タイムズモビリティは質問と回答の資料で、氏名・住所・生年月日は法人税法などに基づいて7年間保管していると説明した[6]。運転免許情報と画像は、なりすまし対策や問い合わせ対応のため7年間保管していた[6]。
会員への通知と見舞金
第5報の発表では、影響を受けた人に個別の通知をしている[5]。質問と回答の資料によると、メールには配信したときに漏えいを確認していた情報を書いている[6]。退会した人には、登録された連絡先が今も有効とは限らないため、慎重に案内を進めている[6]。
本人確認書類の画像データへのアクセスと外部送信の痕跡が確認された人には、見舞いとして3,000円相当の現金か金券を渡す[5]。対象の範囲は、利用者への影響と負担も踏まえて決めた[5]。質問と回答の資料によると、見舞いの金額は、信用情報機関の本人申告制度の利用に伴う費用負担なども検討要素の一つとして参考にしたが、特定の制度の利用を前提にしたものではない[6]。
パーク24は10月1日、タイムズカーの不正アクセスの問い合わせが多く、電話がつながりにくくなっているとタイムズクラブのサイトで告知した[10]。パーク24は10月29日の告知で、タイムズクラブの個別の案内はメールマガジンの受信を「希望する」に設定している会員に送るとした[11]。11月4日の告知では、個別の連絡を受けていない人は、個人を特定できる情報の漏えいは確認されていないと説明した[12]。
パーク24の業績予想
パーク24は10月23日の適時開示で、見舞金と諸対応の費用として、特別損失5,500百万円を計上する見込みだとした[8]。2026年10月期の通期連結業績予想も修正し、親会社株主に帰属する当期純利益の予想を44,000百万円から38,500百万円にした[8]。公表の直後、モビリティ事業で会員数の推移に一定の影響がみられたが、1日あたりの売上高は発生前の水準を維持しているとした[8]。
関係組織と行政の動き
JR西日本は9月25日、WESTERポータルにタイムズカーWebサイトへの不正アクセスの告知を出した[18]。10月23日の続々報でJR西日本は、パーク24グループの調査の結果、WESTER IDは漏えいしていなかったことが確認されたと説明した[17]。JR西日本のシステムへの不正アクセスは発生しておらず、WESTERのパスワードはJR西日本が管理しており、今回の不正アクセスで流出するものではないとした[17]。他のサービスと同じパスワードを使っている利用者には、異なるパスワードへの変更の検討を求めた[17]。
デイリースポーツが掲載した共同通信の10月7日の配信記事によると、国土交通省は業界団体に情報漏えい対策の点検を要請し、10月30日までに取り組み状況の報告を求めている[21]。国土交通省は、免許証画像などの流出は「利用者の不安を引き起こし、レンタカー事業の信頼を揺るがす恐れがある」としている[21]。静岡県警察は、タイムズカーWebサイトへの不正アクセスで運転免許証の画像などが漏えいした人は、免許証の再交付を申請できると告知した[20]。
未公表の事項
注
出典
当事者
- [1]タイムズモビリティ株式会社『「タイムズカーWebサイト」への不正アクセスによる個人情報漏えいの可能性について(第1報)※追記あり』(2026年9月25日公開、2026年10月1日更新)
- [2]タイムズモビリティ株式会社『「タイムズカーWebシステム」への不正アクセスに関する調査結果および今後の対応について(第2報)※追記あり』(2026年9月28日公開、2026年10月1日更新)
- [3]タイムズモビリティ株式会社『「タイムズカーWebシステム」への不正アクセスに関する調査結果および今後の対応について(第3報)※追記あり』(2026年9月29日公開、2026年10月1日更新)
- [4]タイムズモビリティ株式会社『「タイムズカーWebシステム」への不正アクセスに関する対応について(第4報)』(2026年10月16日公開)
- [5]タイムズモビリティ株式会社『「タイムズカーWebシステム」への不正アクセスによる個人情報漏えいに関するご報告と今後の対応について(第5報)』(2026年10月23日公開)
- [6]タイムズモビリティ株式会社『タイムズカーWebサイトへの不正アクセスに関するご質問と回答』(2026年10月1日公開、PDF、2026年10月23日更新)
- [7]パーク24株式会社『不正アクセスに関する調査結果および今後の対応に関するお知らせ』(2026年10月23日公開、PDF、適時開示)
- [8]パーク24株式会社『特別損失の計上および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ』(2026年10月23日公開、PDF、適時開示)
- [9]パーク24株式会社『連結子会社における不正アクセスの発生および個人情報漏えいに関するお知らせ』(2026年9月28日公開、保存記録のみ) 保存記録
- [10]パーク24株式会社『お問い合わせ窓口の混雑について』(2026年10月1日公開)
- [11]パーク24株式会社『タイムズクラブWebシステムへの不正アクセスによる個人情報漏えいに関する今後の対応について』(2026年10月29日公開)
- [12]パーク24株式会社『タイムズクラブWebシステムへの不正アクセスによる個人情報漏えいに関する個別のご案内の実施状況について』(2026年11月4日公開)
関係組織
- [17]西日本旅客鉄道株式会社『タイムズカーWebサイトへの不正アクセスについて(続々報)』(2026年10月23日公開)
- [18]西日本旅客鉄道株式会社『タイムズカーWebサイトへの不正アクセスについて』(2026年9月25日公開、保存記録のみ) 保存記録
公的機関
- [20]静岡県警察『「タイムズカーWebサイト」への不正アクセスによる運転免許証画像等が漏えいされた方へのお知らせ』(公開日不明、2026年11月7日閲覧、2026年10月16日更新)
報道機関
- [21]株式会社デイリースポーツ『情報漏えい対策点検を要請』(2026年10月7日公開、共同通信の配信、無料公開の範囲のみ参照)
背景資料
- [23]タイムズモビリティ株式会社『【タイムズモビリティ】カーシェアリングサービス「タイムズカー」会員数が400万人突破!』(2026年8月17日公開)
更新記録
- 2026年9月29日:公開した。
- 2026年10月1日:タイムズモビリティの第1報の10月1日の追記(出典1)と質問と回答の資料(出典6)、パーク24の窓口の混雑の告知(出典10)を加え、「時系列」と「対応と現状」を改めた。
- 2026年10月7日:国土交通省の点検の要請を伝えた共同通信の配信記事(出典21)を「時系列」と「対応と現状」に加えた。
- 2026年10月16日:タイムズモビリティの第4報(出典4)と静岡県警察の再交付の告知(出典20)を加え、「対応と現状」に画像の保有の見直しと再交付を書いた。
- 2026年10月23日:タイムズモビリティの第5報(出典5)、質問と回答の資料の改訂(出典6)、パーク24の適時開示2件(出典7、8)、JR西日本の続々報(出典17)を加え、リード、「経緯」「影響範囲」「対応と現状」を改め、件数の差を「注」に書いた。
- 2026年10月29日:パーク24のタイムズクラブの個別の案内の告知(出典11)を「時系列」と「対応と現状」に加えた。
- 2026年11月4日:パーク24の個別の案内の完了の告知(出典12)を「時系列」と「対応と現状」に加えた。
