ニチレイのサーバへのサイバー攻撃

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目次
  1. 経緯
  2. 時系列
  3. 影響範囲
    1. 業務と業績への影響
    2. 漏えいを確認した個人情報
    3. 取引先と生協への影響
  4. 対応と現状
  5. 未公表の事項
  6. 注
  7. 出典
  8. 更新記録

ニチレイの第2報によると、同社のサーバがサイバー攻撃を受け、グループで使用しているシステムを遮断した⁠[2]。遮断に伴い、ニチレイロジグループ各社の冷蔵倉庫の入出庫業務とニチレイフーズの冷凍食品出荷業務に影響が生じた⁠[2]。ニチレイは2026年9月18日の第7報で、サーバの一部に保管されていた個人情報の漏えいを確認した⁠[10]。

経緯

ニチレイは第1報で、不正アクセスによるシステム障害の範囲は日本国内に限られると説明した⁠[1]。個人情報や顧客データが社外へ流出した事実は確認されておらず、調査を続けていた⁠[1]。

ニチレイが第2報で示した遮断の理由は、個人情報や顧客データなどの保護を「最優先」としたことだった⁠[2]。被害を受けたサーバの一部に個人情報が保管されていたため、個人情報保護委員会へ「漏洩の可能性がある事案」として第1報を入れた〔注1〕⁠[2]。第3報の段階では、外部のセキュリティ専門会社の支援のもとで調査と対応を進めていた⁠[4]。第7報でも、外部専門会社の支援を受けて原因分析と影響範囲の調査を続けている⁠[10]。

SOCRadarの報告によると、RansomHouseのダークウェブのポータルへのニチレイの掲載は、SOCRadar自身のダークウェブ監視サービスが検知した⁠[20]。SOCRadarは、nichirei.co.jpのドメインでインフォスティーラーが収集した認証情報の記録約2ダース(2024年末〜2026年7月中旬)も分析したが、RansomHouseがその認証情報を使ったと確定するものではないとした⁠[20]。

The Recordの記事では、RansomHouseがリークサイトにニチレイの名を載せて攻撃への関与を主張した⁠[26]。同グループが「機密データ、プロジェクト、文書」と呼ぶ情報の公開を防ぐため、ニチレイに連絡を求めた⁠[26]。

ITmedia NEWSは、HackRisk.ioの情報として、リークサイトに「暗号化済み:2026年7月13日」などの記載があり、「証拠パック」と称するデータをダウンロードできる状態だったと報じた⁠[33]。主張が事実かどうかは、7月22日の記事では確認できていない⁠[33]。

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時系列

時系列
日付主体内容資料
2026年7月13日ニチレイ緊急対策本部を立ち上げ、第1報を出した⁠[1、2]
2026年7月15日ニチレイ第2報を出した⁠[2]
2026年7月17日ニチレイ冷蔵倉庫全拠点の入出庫業務と冷凍食品出荷業務を順次開始し、受発注を一部制限して冷蔵倉庫と食品工場を部分稼働させた⁠[4]
2026年7月21日-RansomHouseのダークウェブのポータルにニチレイが掲載された⁠[20]
2026年7月22日ニチレイ第4報を出した⁠[5]
2026年7月24日ニチレイ受発注の制限を解除し、全拠点で平常時の通常稼働に移った⁠[6]
2026年8月7日ニチレイ第1四半期決算短信と決算説明会資料を公表した⁠[7、8]
2026年8月14日ニチレイ第6報で、一部の従業員情報に漏えいのおそれがあることを確認したと公表した⁠[9]
2026年9月11日ニチレイ個人情報保護委員会に報告した⁠[10]
2026年9月18日ニチレイ第7報を出した⁠[10]

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影響範囲

業務と業績への影響

ニチレイのグループ紹介では、ニチレイロジグループは国内最大規模の低温物流企業グループで、国内141拠点・海外82拠点を持つ⁠[27]。The Recordは、攻撃がニチレイの全国約140の冷蔵配送センターの網にわたって業務を混乱させたと報じた⁠[26]。

表1:システム障害によるマイナス影響(決算説明会資料の「現時点」の値)
項目合計持株食品事業低温物流事業資料
売上高△50億円-△20億円△30億円⁠[8]
営業利益△8億円△2億円(システム障害対応費用)△2億円△4億円⁠[8]
特別損失△10億円△10億円(システム障害対応費用)--⁠[8]

ニチレイは決算説明会資料で、システム障害対応や中東情勢の影響によるコスト増と主力事業の進捗を反映し、業績予想の営業利益を300億円、当期純利益を204億円へ下方修正した⁠[8]。決算短信の偶発債務の注記によると、サイバー攻撃の被害とシステム障害による将来の財政状態や経営成績などへの影響は、金額を合理的に見積もることが困難なため、第1四半期の連結財務諸表に反映していない⁠[7]。

漏えいを確認した個人情報

ニチレイの第6報では、漏えいのおそれがある情報は、国内のグループ会社が取り扱う従業員の氏名、生年月日、会社メールアドレス、従業員番号、その他人事・労務管理に関する情報だった⁠[9]。ニチレイは、これらの個人情報の不正利用は確認されていないとした⁠[9]。

表2:第7報で漏えいを確認した個人情報
対象件数含まれる情報資料
ニチレイグループ各社が受託した配送業務の配送先3,308件氏名、住所、電話番号⁠[10]
取引先の役職員6,849件会社名、所属、役職、氏名、住所、電話番号、メールアドレス⁠[10]
グループ従業員(2021年以降の退職者含む)とその家族、求職者43,709件氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、メールアドレス、従業員番号、給与賞与情報、在留資格、所属・異動等の人事情報等⁠[10]

第7報の対象に、クレジットカード情報は含まれていない⁠[10]。

三菱健康保険組合の7月28日の告知によると、同組合は保健指導業務の委託先であるSOMPOヘルスサポートから報告を受けた⁠[29]。冷凍弁当の配送で提携するニチレイフーズのサーバーがサイバー攻撃を受け、食事体験コースの利用者の個人情報が漏えいした可能性があるという内容だった⁠[29]。対象は過去に食事体験プログラムへ申し込んだ延べ381件で、サーバーにあった情報は氏名、お届け先郵便番号、お届け先住所、電話番号、お届け日時だった⁠[29]。同組合が受けた報告では、漏えいの事実も不正利用の事実も確認されていない⁠[29]。

取引先と生協への影響

ITmedia NEWSの記事では、日本ケンタッキー・フライド・チキンが7月14日、食材配送の委託先で不正アクセスによるシステム障害が発生し、全店舗で商品の一部品切れや販売メニューの制限、営業時間の短縮、臨時休業が生じる可能性があると発表した⁠[21]。公式アプリとWebサイトからのオンライン注文、モバイルオーダー、デリバリー、配達代行サービスは一時停止し、復旧の見通しは立っていなかった⁠[21]。原因がニチレイの公表した不正アクセスであることは取材で明らかにしたと、ITmedia NEWSは報じた⁠[21]。日本ケンタッキー・フライド・チキンは、再開の告知と同じURLに、それより前の告知を掲載した⁠[12]。

表3:影響を告知した取引先と生協
組織影響公表日資料
日本ケンタッキー・フライド・チキン食材配送を委託する物流会社の障害で、店舗で商品の一部品切れ、販売メニューの制限、営業時間の短縮等が発生し、全店舗で通常営業を再開した2026年7月22日⁠[11]
くら寿司取引先への不正アクセスの影響で、寿司ネタや冷凍食品、一部食材の配送に遅れや未着が生じ、一部商品で一時的な欠品や提供の遅れが発生した2026年7月15日⁠[28]
パルシステム生活協同組合連合会ニチレイグループ以外のメーカーも同じ倉庫を使っており、7月16日以降、冷凍品や冷蔵品の一部で届けられない商品が発生した2026年7月16日⁠[13]
東海コープ事業連合冷凍冷蔵商品の供給に支障が発生し、カタログに載った商品でも注文後に欠品になる可能性がある。欠品分は代金の請求時に減算(返金)する2026年7月23日⁠[14]
福井県民生活協同組合受注・出荷業務に遅延や停止が発生し、お届けを再開できる時期は未定2026年7月17日⁠[15]
生活協同組合ユーコープおうちCO-OPの一部商品に欠品が発生し、一部商品を除き7月27日から収束する見込み2026年7月24日⁠[16]
ヨシケイグループ本部倉庫からの出庫が未だ完全回復ではなく、一部エリアで代替品の商品や食材を届ける場合がある2026年7月27日⁠[17]
コープデリ生活協同組合連合会障害が復旧し、7月5回の配達から障害に伴う欠品は無い。届けられなかった商品は返金した2026年7月28日⁠[18]

東都生活協同組合も、ニチレイグループのシステム障害に伴う欠品・遅配の告知を掲載した⁠[19]。

ITmedia NEWSの取材に、くら寿司は原因を7月13日にニチレイが公表した不正アクセスだと明らかにした⁠[31]。イオンも同じ日、一部商品の欠品を明らかにし、詳細は「店舗やグループ各社を調査している段階」と答えた⁠[30]。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは一部店舗の商品で欠品が生じていると回答した⁠[22]。

プレナスは「ほっともっと」「やよい軒」の一部店舗への食材納品が当面遅れる見込みを示した⁠[22]。この遅れは、店舗への食材供給を安定させるための施策だった⁠[32]。すかいらーくホールディングスは取材に「現時点で店舗運営の支障はない」と答えた⁠[22]。コープデリ連合会は、ニチレイ以外の食品やミールキットでも同グループのシステムを使う商品は配送に支障が生じる可能性があるとした⁠[22]。

ITmedia NEWSは別の記事で、7月15日にはイオン系列のスーパーやヨークベニマルで一部商品の欠品が生じ、くら寿司ではすしネタや冷凍食品の納品遅れが起きていたと報じた⁠[24]。

ネットショップ担当者フォーラムは、ニチレイグループの直販ECサイト「ニチレイフーズダイレクト」がWebサイトを一時休止し、コールセンターでは注文済み商品の配送状況などの問い合わせだけを受け付けていると報じた⁠[23]。シブヤの業務用食品EC「SHIBUYA smart Cibo」も、ニチレイロジの配送停止に伴う入荷停止を案内していた⁠[23]。

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対応と現状

ニチレイは第3報で、来週中を目指して全拠点での通常稼働に向けた準備を進めているとした〔注2〕⁠[4]。適時開示では、第1四半期の決算発表は当初の通り8月7日に行う予定だった⁠[3]。

ニチレイの第4報によると、サーバに保管されていた個人情報の対象者へ、別途通知を行っていた⁠[5]。

ニチレイは第7報で、対象者に順次個別に連絡しており、不正利用等の二次被害は確認されていないと説明した⁠[10]。連絡先不明などで個別の通知が難しい場合は、第7報の公表をもって案内に代えるとした⁠[10]。ニチレイや公的機関、金融機関を装った不審なメール、SMS、電話などに注意するよう求めた⁠[10]。

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未公表の事項

  • 侵入の経路と手口(ニチレイは、さらなる被害の拡大を防ぐため、また警察および関係機関と連携して対応しているためとして、サイバー攻撃の詳細の開示を差し控えた⁠[2、5])
  • RansomHouseの主張に対するニチレイの見解(The Recordは、ニチレイがハッカーの主張にコメントしていないと報じた⁠[26])
  • 身代金の要求の有無(The Recordは、RansomHouseが要求したかを明らかにしていないと報じた⁠[26])
  • RansomHouseが主張するデータの公開の有無
  • 漏えいの対象の人数(ニチレイは第7報で件数を示し、1件ごとに項目欄の全ての情報が含まれているわけではないとした⁠[10])

注

  • 〔注1〕ネットショップ担当者フォーラムは、ニチレイが7月13日に個人情報保護委員会へ報告したと報じた⁠[23]。
  • 〔注2〕LNEWSは、ニチレイが7月25日までの全拠点での通常稼働に向けた準備を進めていると報じた⁠[25]。

出典

当事者

関係組織

調査・観測

報道機関

背景資料

更新記録

  • 2026年8月6日:公開した。
  • 2026年8月7日:ニチレイの第1四半期決算短信(出典7)と決算説明会資料(出典8)を加え、「時系列」と「影響範囲」を改めた。
  • 2026年8月14日:ニチレイの第6報(出典9)を加え、「時系列」と「影響範囲」を改めた。
  • 2026年9月18日:ニチレイの第7報(出典10)を加え、リードと「経緯」「時系列」「影響範囲」「対応と現状」「未公表の事項」を改めた。

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