ServiceNowのサンドボックス回避の脆弱性CVE-2026-6875の悪用
ServiceNowの2026年7月13日〔注1〕のアドバイザリでは、ServiceNow AI PlatformのCVE-2026-6875は、未認証の利用者に特定の状況下でコード実行を許しうる[1]。カナダのサイバーセキュリティセンターは勧告の更新で、公開情報の報告は実環境での悪用を示すと記した[4]。
脆弱性の内容
発見したSearchlight Cyberの技術ブログによると、入口は、全版で認証前に到達できるassessment_thanks.doのパラメータsysparm_assessable_typeである[6]。この値はGlideRecordのクエリに渡り、クエリの値に含まれる「javascript:」が評価される[6]。フィルタなど一部の入力は追加のスクリプトサンドボックスの下で実行され、その中でスクリプトを動かすだけでは意味のある侵害はできない[6]。
Searchlight Cyberは、gs.include()で読み込むスクリプトインクルードがサンドボックスの制約を受けない文脈で評価されることを使い、サンドボックスを抜けた[6]。この完全に未認証のRCE(リモートコード実行)で、インスタンスと接続したすべてのプロキシサーバーを完全に侵害できたと同社は報告した[6]。設定したプロキシサーバーではシェルの命令を実行でき、そうしたサーバーは企業の内部ネットワークに置かれていることが多いとした[6]。
時系列
| 日付 | 主体 | 内容 | 資料 |
|---|---|---|---|
| 2026年 | Searchlight Cyber | ServiceNowに脆弱性を報告した | [6] |
| 2026年 | ServiceNow | 6月を通じて顧客にパッチを出した | [7、8] |
| 2026年 | ServiceNow | アドバイザリKB3137947の版1.0とCVE記録を公開した | [1、2] |
| 2026年 | Searchlight Cyber | 技術ブログで脆弱性の詳細を公開した | [6] |
| 2026年 | カナダのサイバーセキュリティセンター | 勧告AV26-693を出した | [4] |
| 2026年 | Defused | 実環境での悪用を観測したと報告した | [9] |
| 2026年 | Defused | 観測の内容を訂正した | [9] |
| 2026年 | カナダのサイバーセキュリティセンター | 勧告を更新した(Update 1) | [4] |
| 2026年 | カリフォルニア州サイバーセキュリティ統合センター | 勧告CAL-CSIC-202607-A-011を出した | [5] |
対象の製品と版
悪用の状況
Help Net Securityの記事によると、Defusedの研究者は、最初の悪用の試みが金曜日に現れ、週末に実環境での悪用を確認したと述べた[7]。Defusedは当初、観測したペイロードはSearchlight Cyberが記したものと同じ認証前のエンドポイントに届いたと述べた[7]。サンドボックスを抜ける手口は公開のPoC(概念実証)と別の経路で、同じコード実行に至るとした[7]。
The Hacker Newsは、Defusedがその後の投稿で訂正し、捕捉したペイロードはSearchlight CyberのPoCと一致すると述べたと報じた[8]。
カリフォルニア州サイバーセキュリティ統合センター(Cal-CSIC)の勧告では、PoCは公開されているが、ServiceNowはServiceNowのインスタンスに対する悪用を確認していない[5]。
ServiceNowの広報はHelp Net Securityに、ある企業による悪用の公表は把握しているが、これまでの調査ではこの活動が自社のホストするインスタンスに関係する証拠は確認していないと述べた[7]。
CVE記録では、CISAのADP(Vulnrichment)が7月13日付の評価でSSVCのExploitationを「none」とした[2]。CNAのServiceNowが8月27日に更新したCVE記録の説明文にも、ServiceNowのインスタンスに対する悪用を今のところ認識していないとする文が残っている[2]。NVDの記録は10月24日の更新でも分析待ち(Awaiting Analysis)で、CISAのKEVカタログへの追加の項目は無い[3]。
修正と回避策
ServiceNowはアドバイザリで、この重大なリモートコード実行の脆弱性には、ホスト型のインスタンスへセキュリティ更新を展開して対処したと説明した[1]。セルフホストの顧客とパートナーにも、関連するセキュリティ更新を提供した[1]。そのうえで、適切な更新を速やかに適用するか、修正済みのリリースに更新するよう顧客に勧めた[1]。
修正のパッチにはGuarded Script(KB2944435)も含まれ、ゲスト(未認証)の通信には、更新したすべてのインスタンスで直ちに完全に適用される[1]。認証済みの通信への適用は、更新したクラウドのインスタンスでは、既存の機能を守る自動の除外を伴いながら約4週間かけて段階的に進む[1]。オンプレミスのインスタンスは検知を自動で始めるが、各段階へは管理者が手動で進める必要がある[1]。
Searchlight Cyberの技術ブログでは、ServiceNowは報告から24時間以内に全クラウドインスタンスへ強力な緩和策を展開した[6]。当面の措置は主要なJavaScript関数の変更を防ぐ全インスタンスの更新で、根本の問題を直すパッチはその後の数週間で出た[6]。
ServiceNowの広報は、セルフホストとServiceNowホストの顧客に関連するパッチの適用を促し、適用に支援が必要な顧客とは直接協力を続けると述べた[7]。
未公表の事項
- 脆弱性が成立する「特定の状況」の条件
- 悪用に成功した件数と、被害を受けた組織
- 悪用した主体
- Defusedが観測した悪用の試みの件数
- CNAのServiceNowが8月27日の更新でCVE記録に加えた変更の内容
注
出典
当事者
- [1]ServiceNow, Inc.『CVE-2026-6875 - Sandbox Escape in ServiceNow AI Platform』(2026年7月13日公開)
公的機関
- [2]CVE Program『CVE-2026-6875』(2026年7月13日公開、2026年8月27日更新)
- [3]National Institute of Standards and Technology『CVE-2026-6875』(2026年7月13日公開、2026年10月24日更新)
- [4]Canadian Centre for Cyber Security『ServiceNow security advisory (AV26-693) – Update 1』(2026年7月14日公開、2026年7月20日更新)
- [5]California Cybersecurity Integration Center『CYBER ADVISORY: Remote Code Execution Vulnerability Identifed in ServiceNow AI Platform』(2026年7月21日公開、PDF)
調査・観測
- [6]Searchlight Cyber Ltd.『Smashing the ServiceNow Sandbox – Pre Authentication RCE』(2026年7月14日公開)
報道機関
- [7]Help Net Security『ServiceNow pre-auth RCE exploited in the wild (CVE-2026-6875)』(2026年7月20日公開)
- [8]The Hacker News『Critical ServiceNow AI Platform Flaw Exploited for Unauthenticated Code Execution』(2026年7月21日公開)
- [9]Wired Business Media『Exploitation of ServiceNow Vulnerability Seen Days After Disclosure』(2026年7月21日公開)
更新記録
- 2026年8月6日:公開した。
- 2026年8月27日:CVE記録(出典2)の8月27日の更新を「悪用の状況」に加えた。
- 2026年10月24日:NVDの記録(出典3)の10月24日の更新を「悪用の状況」に加えた。
