WiresharkのSBC音声コーデックの脆弱性CVE-2026-5403

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目次
  1. 脆弱性の内容
    1. SBCコーデックの報告
  2. 時系列
  3. 対象の製品と版
  4. 悪用の状況
  5. 修正と回避策
  6. 未公表の事項
  7. 注
  8. 出典
  9. 更新記録

Wireshark Foundationの2026年4月29日の勧告によると、WiresharkのSBC音声コーデックの脆弱性CVE-2026-5403は、Wiresharkのクラッシュか任意コードの実行に至ることがありうる⁠[4]。修正版の4.6.5のリリースノートは、この脆弱性を含む43件のセキュリティ勧告を挙げた⁠[2]。

脆弱性の内容

Wireshark Foundationは公開の告知とリリースノートで、今回の版は相当数の脆弱性を修正したと書き、その理由を最近のAI支援による脆弱性報告の傾向とした⁠[1、2]。4.6.5の勧告のうち、題に「possible code execution」を含むのは、TLSディセクタ、SBCコーデック、RDPディセクタ、プロファイルのインポートの4件である⁠[2]。残りはディセクタなどのクラッシュや無限ループと、sharkdのメモリリークやクラッシュの勧告で、wnpa-sec-2026-45・47〜50にはCVE番号の記載がない⁠[2]。

表1:任意コードの実行に至りうる4件の勧告
CVE概要成立条件CVSS資料
CVE-2026-5403(wnpa-sec-2026-16)SBC音声コーデックのヒープバッファオーバーフロー(CWE-122)。クラッシュか任意コードの実行に至ることがありうる不正な形式のパケットをネットワークに流すか、不正な形式のパケットトレースファイルを読ませる7.8〔注1〕⁠[4、15]
CVE-2026-5402(wnpa-sec-2026-14)TLSディセクタのヒープオーバーフロー(CWE-122)。クラッシュし、信頼できないコードを実行することがありうる不正な形式のパケットをネットワークに流すか、トレースファイルを読ませる8.8⁠[5、16]
CVE-2026-5405(wnpa-sec-2026-17)RDPディセクタのヒープバッファオーバーフロー(CWE-122)。クラッシュし、任意コードを実行することがありうる-7.8⁠[6、17]
CVE-2026-5656(wnpa-sec-2026-21)プロファイルのインポートのパストラバーサル(CWE-22)。Wiresharkのクラッシュか任意コードの実行細工した設定プロファイルを人にインポートさせる7.0⁠[7、18]

SBC、TLS、RDPの3件の勧告は、発見者をDuc Anh Nguyenとした⁠[4、5、6]。プロファイルのインポートの1件は、Theoriの5名とXintが見つけた⁠[7]。SANS ISCは日記で、4.6.5が43件の脆弱性(38件のCVE)を修正したと書いた⁠[21]。不具合の修正は35件で、修正の多さはAIによるとした⁠[21]。

SBCコーデックの報告

発見者はWiresharkの課題管理に出したIssue 21103で、codec_sbc_decode()は8192バイトの固定長の出力バッファを確保するが、複数フレームを復号するループで残りの容量を減らさないと説明した⁠[20]。1つのRTPパケットに約256を超えるSBCフレームがあると、復号した出力がバッファを超える⁠[20]。発見者はsharkdのバイナリでAddressSanitizerを使い、400フレームの例で4608バイトの超過を確かめた⁠[20]。このコードは2012年の最初のコミットから変わっておらず、4.4.3、4.6.0〜4.6.4、masterとrelease-4.6で同じだったと報告した⁠[20]。

  • SBCコーデックのプラグインはlibsbcが入っている環境でだけビルドされ、libsbcの無い環境は影響を受けない⁠[20]。
  • 経路はsharkdのJSON-RPCのdownload(GUIは要らない)と、WiresharkのGUIのRTP Player(Decode As RTPと再生の手動の操作が要る)である⁠[20]。
  • tsharkはcodec_decodeを呼ばないので影響を受けない⁠[20]。
  • 細工したpcapngを開く操作が要るが、信頼できないpcapngを処理するsharkdの運用(例としてCloudshark)は露出が高まることがある(AV:N)⁠[20]。

報告には、PoCのpcapng、ASANの出力、PoCを生成するPythonのスクリプトが暗号化した添付として付いていた⁠[20]。

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時系列

時系列
日付主体内容資料
2026年3月19日-SBCコーデックのヒープバッファオーバーフローがIssue 21103で報告された⁠[20]
2026年4月29日Wireshark FoundationWireshark 4.6.5と4.4.15を公開し、勧告wnpa-sec-2026-08〜50を出した⁠[1、2]
2026年4月30日CVE ProgramCVE-2026-5402、5403、5405、5656の記録を公開した⁠[15、16、17、18]
2026年5月6日Debian ProjectDSA-6249-1を出した⁠[11]
2026年5月19日Wireshark FoundationWireshark 4.6.6と4.4.16を公開し、4.6.5がWindows 10バージョン1809で動かない不具合を直した⁠[8、9]

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対象の製品と版

Wireshark Foundationは利用者ガイドで、Wiresharkの前身はEtherealで、2006年にWiresharkの名に変わったと書いた⁠[24]。2023年に、501(c)(3)の非営利法人であるWireshark Foundationに移った⁠[24]。

表2:影響を受ける版と修正版
製品影響を受ける版修正版資料
Wireshark(CVE-2026-5403、5405、5656)4.6.0〜4.6.4、4.4.0〜4.4.144.6.5、4.4.15⁠[4、6、7]
Wireshark(CVE-2026-5402)4.6.0〜4.6.44.6.5⁠[5]

4.4.15のリリースノートは37件〔注2〕の勧告を修正した脆弱性として挙げ、wnpa-sec-2026-14・19・25・33・35・36を含まない⁠[3]。

表3:配布元の対応(CVE-2026-5403)
配布元状態修正版・アドバイザリ資料
Debian(trixie)fixed4.4.15-0+deb13u1(DSA-6249-1)⁠[10、11]
Debian(forky、sid)fixed-⁠[10]
Debian(bookworm)vulnerable(no-dsa、Minor issue)4.0.17-0+deb12u3(DSA-6249-1は一部の問題を修正)⁠[10、11]
Ubuntu(全リリース)Needs evaluation(優先度Medium。25.10はIgnored end of life)-⁠[12]
SUSEResolvedSUSE-SU-2026:21559-1、2203-1、2969-1、3501-1⁠[13]
Red Hat(RHEL 10)Will not fix(重要度Important)-⁠[14]
Red Hat(RHEL 6〜9)Not affected-⁠[14]

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悪用の状況

Wireshark Foundationは、表1の各勧告で悪用を把握していないとした⁠[4、5、6、7]。CVE記録では、CISAのADP(Vulnrichment)がCVE-2026-5402、5403、5405、5656のいずれもSSVCのExploitationをnoneと評価した⁠[15、16、17、18]。CVE-2026-5403では、AutomatableをnoとTechnical Impactをtotalとした⁠[15]。NVDのCVE-2026-5403の項目には、CISAのKEVに加えた日付の項目が無い⁠[19]。

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修正と回避策

Wireshark Foundationの各勧告は、対処を修正版への更新とした⁠[4、5、7]。公開の告知は、Windows・macOS向けのインストーラーとソースコードをダウンロードページで配っていると案内した⁠[1]。

Red Hatは、この脆弱性は不正な形式のpcapファイルを処理したときにだけ悪用できると説明した⁠[14]。SBC音声コーデックのディセクタを使わないなら、GUIの「Enabled Protocols」ダイアログで無効にでき、tsharkでも無効になるとした⁠[14]。

Wireshark Foundationは4.6.6の公開の告知で、脆弱性1件と、古いWindows 10でのDLLの競合を直したと書いた⁠[8]。リリースノートによると、Wireshark.exe 4.6.5の大きさが4.6.4の2倍だった不具合も直した⁠[9]。窓の杜は、Windows版の対応OSを64bit版のWindows 10/11とWindows Server 2016/2019/2022と報じた⁠[23]。

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未公表の事項

  • TLS、RDP、プロファイルのインポートの3件の原因の詳細
  • AI支援による報告がどの勧告に当たるかと、報告者の内訳
  • Ubuntuでの評価の結果

注

  • 〔注1〕SUSEは自社の評価で5.5とした⁠[13]。発見者は報告で7.1と見積もった⁠[20]。
  • 〔注2〕Think ITは、修正のいくつかは旧安定版の4.4系列にも施されたと報じた⁠[22]。窓の杜は、多くが4.4シリーズにも影響すると報じた⁠[23]。

出典

当事者

関係組織

公的機関

調査・観測

背景資料

更新記録

  • 2026年5月3日:公開した。
  • 2026年5月6日:Debian Projectの5月6日のセキュリティ勧告DSA-6249-1(出典11)を加え、「時系列」と「対象の製品と版」の配布元の表を改めた。
  • 2026年5月7日:窓の杜の5月7日の記事(出典23)を加え、「修正と回避策」と注を改めた。
  • 2026年5月14日:Canonical Ltd.のCVE-2026-5403のページの5月14日の更新(出典12)を反映し、「対象の製品と版」の配布元の表を改めた。
  • 2026年5月19日:Wireshark Foundationの5月19日の4.6.6と4.4.16の公開の告知とリリースノート(出典8、9)を加え、「時系列」と「修正と回避策」を改めた。
  • 2026年7月15日:CVE Programの7月15日に更新したCVE記録(出典15、16、17、18)とNVDの項目(出典19)を反映し、「脆弱性の内容」の表と「悪用の状況」を改めた。
  • 2026年11月4日:SUSE LLCのCVE-2026-5403のページの11月4日の更新(出典13)を反映し、「対象の製品と版」の配布元の表と注を改めた。

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