大阪公立大学の情報基盤システムへのランサムウェア攻撃

タグ
国内
目次
  1. 経緯
    1. NECの発表の内容
    2. 大阪大学での漏えい
  2. 時系列
  3. 影響範囲
    1. 個人情報の保管と漏洩
  4. 対応と現状
    1. 授業以外の学内サービス
  5. 未公表の事項
  6. 注
  7. 出典
  8. 更新記録
  9. 関連記事

大阪公立大学の2026年10月6日の発表によると、10月2日未明から仮想化基盤システムで大規模な障害が起き、学内の多くの情報システムが利用できない状況になった⁠[6]。大学はこの障害を、ランサムウェア攻撃によるものと判断している⁠[6]。10月21日の第5報では、基盤システムの保守・運用を委託するNECから、再委託先が持つ正規のアカウントで大学のシステムに不正にアクセスされたことが原因との報告を受けたとした⁠[16]。

経緯

大阪公立大学の10月2日の第1報では、システム担当部署と運用委託事業者が原因の調査と復旧作業を進めていたが、原因の特定には至っていなかった⁠[2]。復旧のめどは不明だった⁠[2]。大学は10月5日の会見で、外部の専門事業者などの支援を受けながら、原因の究明と被害状況の調査を進めていると説明した⁠[6]。

MBSニュースの10月5日の記事によると、大学の各種情報システムが使う仮想化基盤に侵入され、約500台のサーバーが全て停止した⁠[21]。バックアップデータの多くが暗号化され、使えない状態だった⁠[21]。

NECの発表の内容

NECは、この件の公表内容を自社のサイトに掲載した⁠[16、25]。日本経済新聞は10月20日、NECがシステム開発や保守業務を委託している企業がサイバー攻撃を受け、顧客3社に関する情報が漏洩したと発表したと報じた⁠[23]。委託先の端末を経由して、顧客先のシステム環境に不正アクセスが行われた⁠[23]。3社のうち2社では、個人情報の漏洩が確認された⁠[23]。

朝日新聞の10月21日の記事では、NECの発表として、攻撃を受けた再委託先の企業で正規アカウントの認証情報が盗み取られた⁠[24]。このアカウントを悪用した不正アクセスが大阪公立大学に行われ、大学のサーバー内のファイルが暗号化された⁠[24]。

日本経済新聞と朝日新聞によると、NECが作成し⁠[24]、顧客や委託先⁠[23]、大阪公立大学や大阪大学、再委託先など⁠[24]との情報共有に利用していたクラウドストレージのファイルも漏洩した⁠[23、24]。漏れたファイルには、大阪大学の個人情報が含まれていた⁠[24]。

大阪大学での漏えい

大阪大学の10月21日の発表によると、全学教育用電子計算機システムの運用を委託しているNECから、10月9日に報告を受けた⁠[20]。第三者が9月26日に、大阪大学の個人情報を含むファイルをダウンロードしていたとの報告だった⁠[20]。その後の調査で、大阪大学に報告されていない協力会社が業務の一部に関わっていたことが分かった⁠[20]。NECは大阪大学との契約に基づかずに、協力会社との情報共有のため、個人情報を含むファイルをクラウドストレージ上で共有し、作業の終了後に削除すべきファイルも保持していた⁠[20]。

大阪大学は、確認されている漏えいの対象者を重複を除いて77,851人とした⁠[20]。主な情報は氏名、大阪大学個人ID、大阪大学が付与するメールアドレス、学籍番号または職員番号、所属情報で、対象者によって項目は異なる⁠[20]。NECの調査では、この件に関連すると判断される全学教育用電子計算機システムへの不正アクセスの痕跡は確認されていない⁠[20]。

目次へ

時系列

時系列
日付主体内容資料
2026年9月下旬-NECの再委託先がサイバー攻撃を受けた⁠[16]
2026年10月2日0時20分ごろ保守管理の委託会社情報基盤システムのサーバーが順次停止する事象を確認して〔注1〕原因の調査を始め、1時40分ごろに大学の情報システム部門へ障害の発生を連絡した⁠[5]
2026年10月2日4時ごろ保守管理の委託会社技術スタッフが着いて本格的な調査を始め、調査の結果、仮想サーバー群の停止と、一部のデータが改ざんされた形跡を確認した⁠[5]
2026年10月2日7時ごろ大阪公立大学OMUエントランスページで学生向けに休講を案内した⁠[5]
2026年10月2日8時ごろ大阪公立大学大阪府・大阪市に報告し、11時ごろに文部科学省、情報セキュリティ関連の団体、警察に報告した⁠[5]
2026年10月2日8時15分大阪公立大学危機対策本部を設置した⁠[5]
2026年10月2日12時ごろ大阪公立大学報道提供資料の第1報を発信し、18時30分に第2報を発信した⁠[5]
2026年10月3日7時30分ごろ大阪公立大学情報発信用の臨時特設サイトを開設した⁠[5]
2026年10月5日10時ごろ大阪公立大学個人情報保護委員会に連絡した⁠[5]
2026年10月5日16時大阪公立大学公立大学法人大阪の法人本部で記者会見を開いた⁠[5]
2026年10月8日大阪公立大学第4報で、10月9日からすべてのキャンパスで対面授業を再開すると告知した⁠[9]
2026年10月20日NEC大学に報告し、17時に公表した⁠[16]
2026年10月21日大阪公立大学第5報を出した⁠[16]
2026年10月23日大阪公立大学卒業生と保護者向けの相談・問い合わせ窓口を設置した⁠[18]

目次へ

影響範囲

大学の10月6日の発表では、学内ネットワーク、OMUメール、法人・大学の各Webサイトが停止していた⁠[6]。教育支援システム、教務システム、財務会計システム、人事給与システム、図書館システムなども止まっていた⁠[6]。大学が会見で配った資料には、被害を受けた主なシステムとして、教職員用の学内ポータルサイト、事務端末(PCへログインできない)、入試の情報データベースも載っている⁠[5]。

第1報で大学は、医学部附属病院と獣医臨床センターのシステムには影響が無く、両施設は通常どおり運営していると説明した⁠[2]。大阪公立大学工業高等専門学校は、10月2日も通常の授業を実施した⁠[2]。附属病院は10月20日の告知で、今回のシステム障害による電子カルテへの影響は無く、診療を通常どおり行っていると説明した⁠[15]。附属病院の10月23日の告知では、大阪公立大学で発生したランサムウェア被害に伴い学内と病院のネットワークシステムを停止しており、通常業務でネットワークを使うのが難しい状況が続いている⁠[17]。

個人情報の保管と漏洩

大学の第5報では、NECが利用していたクラウドストレージに保存されていた「本学に関連する個人情報およびシステム関連情報」の漏洩が確認されたとの報告を、NECから受けた⁠[16]。10月5日の会見で情報漏洩の可能性があるとした業務システム(「教務システム関連の情報:約13万件など」〔注2〕)は、大学の仮想化基盤システムの中にあり、クラウドストレージの情報とは別のものだとした⁠[16]。大学は、仮想化基盤システムからの漏洩の有無を引き続き調べるとした⁠[16]。読売新聞の10月6日の記事では、学生や卒業生らの氏名や住所、学生証の顔写真データに加え、教職員の給与振り込みに使う口座情報などが流出した可能性がある⁠[22]。

目次へ

対応と現状

大学は第2報で、10月8日までの授業を休講とした⁠[3]。入試のWEB出願サイトと入学手続サイトは学外の外部サーバーで運用しているため登録できたが、募集要項の閲覧や一部の出願書類の入手はできなくなっていた⁠[3]。

入試課は10月4日の追記で、出願と入学手続を、いずれも10月22日まで延長した⁠[4]。延長の前は、出願の最終日が10月8日か10月9日だった⁠[4]。入学手続の最終日は10月6日だった⁠[4]。

第4報では、授業の再開に必要な環境を確保するため、授業支援システムをはじめとする各種システムを臨時に構築したと説明した⁠[9]。授業再開と履修手続の案内では、臨時のMoodleに登録した履修情報は9月30日時点のものだった⁠[8]。

学生向けのOMUメールの告知によると、学外からのメールの受信は10月8日、学外への送信は10月12日に再開した⁠[10]。@st.osaka-cu.ac.jpのアドレスは、10月20日に学外との送受信を再開した⁠[10]。10月2日から8日ごろまでに学外から送られたメールは、正常に受信できていない可能性があると告知した⁠[10]。

大学は10月10日の告知で、ランサムウェア被害に伴う緊急対応として、OMU認証システムのパスワードを新しいパスワードに切り替えると案内した⁠[11]。二要素認証の設定ができていない人は、新規の設定も再設定もできない状況が続いていた⁠[11]。OMUIDの相談窓口の案内では、OMU認証パスワードの強制変更を10月12日に完了したと告知した⁠[14]。

表1:2026年10月25日の稼働状況ページに示された各項目の状態
状態項目資料
稼働【臨時】の付いたお知らせサイト、Moodle、学務情報システム、デジタル窓口、授業カタログと、OMU認証システム、公式アプリOMU+⁠[19]
メンテナンス大阪公立大学ホームページ、全学ポータル⁠[19]
停止授業カタログ、利用開始手続き、教職員用OMUメール(従来)、デジタル窓口、てぃら・みす、Moodle、UNIPA、人事給与システム、アプリQR出席登録⁠[19]

授業以外の学内サービス

  • 各図書館は、図書館システムやネットワークの復旧の見通しが立たないため、10月9日から開館日・開館時間・利用対象者・提供サービスを限定して開館するとした⁠[7]。
  • 証明書自動発行機はシステム障害で停止し、復旧の見通しが立たないため当面は使えず、一部の証明書は発行できないとした⁠[8]。
  • 授業料の納付の手続きを進められないため、10月中の納付は実施せず、11月以降に手続きを始められるよう準備していると告知した⁠[13]。
  • 地域連携センターは、学内システムで管理していた申込者の氏名や連絡先などの申込情報を取得できず、11月2日からの博学連携講座を全4回とも中止した⁠[12]。

目次へ

未公表の事項

  • NECの再委託先の社名と、その正規アカウントの認証情報が盗み取られた経緯
  • 攻撃者と、使われたランサムウェアの種類
  • NECのクラウドストレージから漏洩した大学に関連する情報の内容と件数(大学は第5報で、詳細をNECに確認しているとした⁠[16])
  • 身代金の要求の有無(読売新聞によると、大学は「不確実なことが多く、答えを差し控えたい」とした⁠[22])
  • 基盤システムの全面復旧の時期

注

  • 〔注1〕OMUエントランスページの障害情報は、発生日時を「0:30頃〜」とした⁠[1]。
  • 〔注2〕MBSニュースは、13万人の中に、統合前の大阪市立大学の1995年以降の学生と、大阪府立大学の2005年以降の学生も含まれると報じた⁠[21]。

出典

当事者

関係組織

更新記録

  • 2026年10月25日8時4分:公開した。
  • 2026年10月25日10時40分:「時系列」で、10月5日の記者会見の行から、出典が支えない「17時まで」を外した。
  • 2026年10月25日20時50分:日付の表記を月日の形に改めた。
  • 2026年10月26日2時13分:「大阪大学での漏えい」の報告の文と、「対応と現状」の出願と入学手続の延長の文を、それぞれ日付ごとに分けた。
  • 2026年10月26日9時4分:「NECの発表の内容」で、日本経済新聞と朝日新聞がともに伝えたクラウドストレージのファイルの漏洩を1つの文にまとめ、3社のうち2社での個人情報の漏洩の文を日本経済新聞の段落に移した。
  • 2026年11月4日:「NECの発表の内容」に、NECが自社のサイトに掲載した告知を出典に加えた。

目次へ