Zscalerのフィッシングと初期アクセスの報告

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目次
  1. 報告の内容
    1. 業種と国の内訳
    2. サイト生成ツールの悪用
    3. 暗号化通信と初期アクセス
    4. 日本語の抄訳版と日本の数値
  2. 根拠と範囲
  3. 未公表の事項
  4. 注
  5. 出典
  6. 更新記録

Zscalerの調査部門ThreatLabzの2026年6月10日の報告によると、フィッシングの活動は2024年と2025年のどちらも前年比で約20%〔注1〕減った⁠[2]。Zscalerは同じ日のニュースリリースで、量が2年続けて減る一方、攻撃の効果と巧妙さは急増したと説明した⁠[1]。

報告の内容

ThreatLabzは、メールの制御とアイデンティティの防御が強まり、無差別に送る配信が妨げられたことを減少の理由に挙げた⁠[2]。その結果、攻撃者は日常の業務に見える、標的を絞った個人向けのおとりに戦術を移したと説明した⁠[2]。Zscalerの最高セキュリティ責任者は、生のフィッシングの量の減少は退却の兆しではなく進化の兆しだと述べた⁠[1]。

Help Net Securityは、減少の前の数年はフィッシングの活動が増え続け、2023年に20億ヒットを超えていたと報じた⁠[10]。同じ記事は、Zscalerが2026年にフィッシングがさらに自動化されると予想し、AIエージェントが別のAIエージェントを狙うことなどを挙げたとも報じた⁠[10]。

業種と国の内訳

Zscalerのニュースリリースによると、米国は引き続きメールのフィッシング攻撃の上位の標的で、ブラジルはフィッシングのホスティングが2,522%増えて世界の発生源の上位5か国に入った⁠[1]。製造業と政府は、メールのフィッシング攻撃の主な標的であり続けている⁠[1]。MicrosoftとGoogleは、フィッシング攻撃で最も多く模倣されたブランドだった⁠[1、4]。

表1:業種別のフィッシングの動き
業種前年比件数など資料
サービス65.5%増ヒットが3億3,090万件から5億4,770万件に増えた⁠[2]
政府50%増(攻撃の試行)2025年のヒットは1億3,850万件で、Zscalerクラウドで3番目に多く狙われた業界⁠[4]
医療-2025年のヒットは比較的少なく、暗号化された攻撃のヒットは158万件⁠[4]
教育65.6%減(試行)追跡した業界で最も大きく絶対量を減らした。暗号化された攻撃のヒットは過去1年に約16億件で、Zscalerクラウドの暗号化された攻撃の活動の6%⁠[4]

ThreatLabzのブログは、請求・更新・サポート・オンボーディング・文書のやり取りといった業務が、正規に見えるおとりの隠れみのになると書いた⁠[2]。Help Net Securityは、Zscalerが挙げた活動の一つが、税をテーマにしたおとりとOneDriveなどの正規のサービスを使い、10,000のサービス業の組織の29,000人以上を狙ったと報じた⁠[10]。

サイト生成ツールの悪用

ThreatLabzは、AIで生成されたサイトのインスタンスを413,524件特定した⁠[2]。このうち37,447件(9.06%)を悪意あるものと判定した⁠[2]。

表2:生成元とされたサイト生成ツールの割合
ツール割合資料
Manus AI15.6%⁠[2]
Blackbox AI14.3%⁠[2]
Anything AI9.8%⁠[2]

Zscalerはニュースリリースで、Manus AI、Blackbox AI、Lovable AIなどのツール〔注3〕が、以前は手作業の開発に数日かかったブランドに沿ったフィッシングのポータルを、数分で立ち上げるのに使われているとした⁠[1]。

事例として、ThreatLabzは、攻撃者がDeepSite AIやBlackBox AIなどのAIのサイト生成ツールでブラジル政府のポータルの複製を作った活動を挙げた⁠[2]。Zscalerの公共部門向けのブログによると、この活動では偽サイトをSEOポイズニングと組み合わせ、最後に信頼された即時決済の仕組みでの支払いを求めた⁠[4]。ThreatLabzは、攻撃者がLovable AIでそっくりのフィッシングページや不正なダウンロードのポータルを作った例も見つけた⁠[2]。Help Net Securityは、AIのアプリ生成ツールで作った偽のCoinbase Walletのサイトが偽のブラウザ拡張を勧め、正規の基盤の上に置かれていた事例を報じた⁠[10]。

暗号化通信と初期アクセス

ThreatLabzは、フィッシングの活動の95.2%が暗号化された経路で配信されたと報告した⁠[2、3]。Zscalerのニュースリリースは、悪意ある活動全体では87%がHTTPS経由で配信されたとした⁠[1]。

ThreatLabzは、AiTM(adversary-in-the-middle)とBiTM(browser-in-the-middle)の手法を組み合わせ、ログインの最中に認証情報とMFAのコードを奪うフィッシングキットを観測した⁠[2]。ニュースリリースは、「BlackForce」のようなキットが有効なセッションの乗っ取りとMFAの実時間の回避に使われているとした⁠[1]。

Zscalerの6月10日の発表では、世界に置いたおとりのテレメトリーが、6か月に137万の固有の攻撃者IPから8,990万件の敵対的なやり取りを記録した⁠[1]。攻撃者は共同作業とアイデンティティの基盤を探り、弱点を探していた⁠[1]。ThreatLabzは、顧客の環境を探るクラウド上の固有のIPを121,000以上記録した〔注2〕⁠[2]。

日本語の抄訳版と日本の数値

Zscalerは7月24日、6月10日(現地時間)に発表したリリースの日本語抄訳版を東京で公表した⁠[9]。日本を標的としたフィッシングの試行は1,567万855件で、アジア太平洋地域全体の10.84%を占めた⁠[9]。日本は暗号化された攻撃の標的国ランキングで世界第9位だった⁠[9]。

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根拠と範囲

Zscalerはニュースリリースで、レポートは2025年1月〜12月に集めたデータに基づき、2025年10月〜2026年3月に観測したおとりのテレメトリーで補ったと説明した⁠[1]。ThreatLabzは、Zscaler Zero Trust Exchangeの毎日500兆以上のシグナルを分析し、毎日90億以上の脅威を遮断している⁠[1]。

Help Net Securityは、レポートに「遮断したメールで測るフィッシングの量は、もはやフィッシングのリスクの信頼できる代替指標ではない」との記述があると報じた⁠[10]。

ThreatLabzは2025年4月24日に前年版の報告を公表した⁠[8]。前年版は、2024年1月〜12月に遮断した20億件以上のフィッシングの取引を分析した⁠[8]。ThreatLabzは2025年8月5日の報告で、DeepSite AIやBlackBox AIでブラジルの州交通局と教育省の偽サイトを作り、ブラジルの即時決済の仕組みPixでの支払いを求める活動を報告していた⁠[6]。

BlackForceは、ThreatLabzが12月11日に解析を公表したフィッシングキットである⁠[7]。解析の報告では、2025年8月初めに初めて観測され、少なくとも5つの版がある⁠[7]。Telegramのフォーラムで200〜300ユーロで売られ、Man-in-the-Browser攻撃でワンタイムのトークンを奪い、MFAを回避できる⁠[7]。

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未公表の事項

  • 報告の件数(ヒット・インスタンス・やり取り)に対応する被害の件数と被害を受けた組織の数
  • 2024年と2025年のフィッシングの総件数
  • 攻撃の効果と巧妙さの急増を示す指標(成功率・被害額など)
  • 「ヒット」の定義と計測の対象
  • AIで生成したサイトの悪意の判定とツールへの帰属の方法

注

  • 〔注1〕Zscalerのニュースリリースと公共部門向けのブログは減少率を約の付かない「20%」と書き、レポートの案内ページは約を付けた⁠[1、3、4]。
  • 〔注2〕ThreatLabzのブログはこのIPを「AWS-hosted」、ニュースリリースは「Public Cloud-hosted」と書いた⁠[1、2]。
  • 〔注3〕Help Net Securityは、関係したツールにBolt AI、Vercel v0、Framer AIも挙げ、帰属できないAIツールが最も多かったと報じた⁠[10]。

出典

当事者

報道機関

背景資料

更新記録

  • 2026年6月12日:公開した。
  • 2026年6月17日:Zscalerの公共部門向けのブログ(出典4)を加え、政府・医療・教育の数値を「報告の内容」の表1に加えた。
  • 2026年7月13日:ThreatLabzのブログ(出典2)の7月13日の更新版に合わせ、「報告の内容」を改めた。
  • 2026年7月24日:Zscalerの日本語の抄訳版のニュースリリース(出典9)を加え、日本に関する調査結果を「報告の内容」に加えた。
  • 2026年8月3日:ThreatLabzのBlackForceの解析ブログ(出典7)の8月3日の更新版を加え、キットの観測と販売の状況を「根拠と範囲」に加えた。
  • 2026年10月23日:公共部門向けのブログ(出典4)の10月23日の更新版に合わせ、「報告の内容」の表1を改めた。

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